年上部下の接し方が分かりません。
攻撃的な態度にも手を焼いています。
年上部下の指導方法と接し方を教えて下さい。
上記のような年上部下との人間関係の悩みにお答えします。
※年上部下との関係性が上手くいっていない場合、年下部下との関係も悪化している可能性が高いです!その為、部下との接し方を根本的に改める必要があります!
現役薬局長(管理薬剤師)。10店舗以上での勤務経験あり。
自身も対人関係から抑うつ発症し休職経験あり。
現在では復職も果たし、『職場での正しい部下との接し方』を実践することで職場でのストレスを格段に減らすことができました。
本記事では、年上部下との接し方についてまとめました。
年上部下はプライドもあるため指導に大変苦労しますよね・・。
しかし、これからお伝えする正しいリーダシップを発揮できれば『年上部下を強力なビジネスパートナーに変化』させるだけでなく『年下部下からも慕われる上司』になることができます。
さらに、チームの結束力を高めることで業績アップも可能です!
年上部下との関係が上手くいかない原因を理解し、正しいリーダーシップを発揮することであなたもストレスフリーな職場環境を手に入れましょう!
【原因】なぜ年上部下との関係が上手くいかないのか?
【結論】☞あなたが上司であるメリットを部下に示せていないから
たったこれだけです。
理由は、行動心理学から考えると簡単です。以下を見ていきましょう!
人が行動を起こすきっかけには大きく分けると『享受行動』と『回避行動』の2つがあります。
①【享受行動】
☞「今よりも良い状態になりたい」という欲求を満たすための行動をいいます。
②【回避行動】
☞「今まで以下の状態を避けたい」という欲求を満たすための行動をいいます。
このように、人間が行動を起こすには『享受』または『回避』のいずれかに該当しています。
行動原則は理解できたでしょうか?
では、上司であるあなたと部下の話に戻りましょう。
ここで、さっそく質問です。
- Q「あなたが考える、ついて行きたくない上司はどんな人でしょうか?」
- A
- 「私も昔はやってきたから・・」と言って給料以上の仕事をふってくる
- いざという時に「上長に確認しないとわからない」と言って頼りにならない
- 会社の言いなりで「上の方針だから」「会議で決まったことだから」と厄介な仕事ばかり部下に押し付ける
☞意外とあなた自身がやっていたりしないでしょうか?
上記はすべて部下にとってはデメリットであり、部下は回避行動をとろうとします。
このように「会社の方針で決まったことだから」「社会人なら当たり前」「給料をもらっているのだから当たり前」といった考え方は、あなたに都合の良い言い訳を使って、部下の気持ちを考えることを放棄しているのと同意なのです。
上記のような言い訳は、あなたが年上である場合は権威性により通用する場合が多いですが、年上部下となるとそうはいきません。
年上部下は『年齢や経験はあなたより上』というプライドもあるため『あなたが上司であるメリットを享受できないと、デメリットばかり押し付けられることで生まれる不満』をハッキリと言動や行動で反発してくることがあるのです。
これが、年下部下には指導が楽でも、年上部下となると指導が難しくなるという結果を生み出しているのです。
つまり、年上部下との接し方に困難を感じている方は、そもそも部下との接し方が誤っている可能性が高いのです。
では、部下と正しく接するためにはどうしたら良いのでしょうか?
以下より詳しく解説していきます。
【対策】『部下共通の接し方』と『タイプ別の接し方』
☞以下より、『部下共通の接し方』と『タイプ別の接し方』を見ていきましょう。
部下共通の接し方
☞年上、年下限らず共通の接し方は以下の通りです。
では、以下より詳しく見ていきましょう。
【スタート】部下にメリットを示し続ける
上司である以上、部下に指示を出し会社から与えられた目標達成することがあなたの仕事のはずです。
年下部下であれば、部下にメリットを示さずとも、あなたの『年上上司という権威性』を利用し動かすことが容易(この場合、部下の不満は生じている)ですが、年上部下となるとそう簡単には動きません。
では、どうしたらよいのでしょうか?
そう、ここで先ほどお話した人の2つの行動原則の『享受行動』と『回避行動』が生きてくるのです。
上記の行動原則を意識し部下の行動意欲を高めることで、上手に部下へ指示を出すことが可能です。
なるほど、わかりました!
部下にメリットを与え、デメリットを回避すべく助けてあげればよいのですね!
ちょっと待ってください!
早速、ここで注意が必要です!
【結論】☞メリットは与えるのではなく示し続けること
なぜなら、仕事においてやってあげることが常態化すると便利な上司に成り下がりさがるからです。すると、あなたがやらなくてもよい雑務もこなさなくてはならなくなり、本来あなたが力を注がなくてはならない仕事に時間をかけられなくなります。
あなたのゴールは便利な上司ではなく、頼りがいのある上司です。
頼りがいのある上司とは、部下に自ら行動を起こさせ、部下の行動の先に困難が生じた時に必要に応じて手を差し伸べることができる上司なのです。
では、どのようにして部下にあなたが上司であるメリットを示し続ければよいのでしょうか?
そう、そこで必要となってくるのが次に解説する『部下の目的の延長線上に自身の目標を設定させる』ことなのです。
【途中経過】部下の目的の延長線上に自身の目標を設定させる
部署のリーダーとして働くあなたには、各項目ごとの数値目標があるはずです。
一般的には、リーダーとして部下に指示を出して各数値目標をクリアすることがあなたのゴールだと思います。
あなたが課せられた数値目標達成のためには部下の協力が不可欠です。
しかし、部下の目的はあなたの数値目標をクリアすることではありません。
部下の目的は『定時に帰りたい』『給料を上げたい』『楽に仕事がしたい』『出世したい』など様々です。
では、どうしたら良いのでしょうか?
【結論】☞部下の目的の延長線上の先にあなたの目標を設定し、指示を出す
これだけです。
イメージしにくい方は某海賊漫画を思い出してみて下さい。
各乗組員は全員海賊王になるために船に乗っているわけではないですよね。
各乗組員が「世界一の剣豪」「世界地図を作ること」「真実の歴史を知るため」・・など全員がそれぞれの目的をもって同じ船に乗っていますね。
では、なぜ彼らは目的が異なるのに共に協力し同じ目的地を目指すのでしょうか?
☞『同じ目的地を目指す過程で、それぞれの目的を果たせると信じているから』です。
今回は漫画で例えてみましたが、この漫画が多くの人から愛され続けるのは『相手に依存するわけでなく、それぞれが強い目的意識を持ちながらも互いに高め合い成長していく過程で生まれる強い絆』に心を打たれるからではないでしょうか?
なんとなくイメージできたでしょうか?
では、話を仕事に戻して考えてみましょう。
部下の目的の延長線上に自身の目標を設定させるには3ステップが必要です。
【途中経過1】部下とのコミュニケーション時間を意図的に作り、部下の仕事の目的を確認する
当然ながら、部下の目的と自身の目標を同じ方向に向かせる前に、部下が今の会社で仕事をしている目的を確認しなければ何も始まりません。
仕事の合間、休憩時間でも確認することはできますが、最も効果的なタイミングが賞与(ボーナス)前のフィードバックです。ポイントは意図的に時間を作って行うことが大切です。
意図的に時間を作ることで、部下も「真剣に自分に向き合ってくれていること」を態度で示すことが可能です。
話す内容は、部下が出来ていなかった点よりも『今後あなたはこの会社でどうしていきたいのか?』といったように、未来に目を向けさせることが重要です。
未来に向けた質問を投げかけることで、部下の目的を明確に把握しましょう!
【途中経過2】部下の目的が自身の目標と同じ方向を向いていることを示す
部下の目的が把握できたでしょうか?
次に行うのは、あなたの目標と部下の目標が同じ方向に向いていることを示すことです。
しかし、すべての部下の目的があなたの目標と合致するわけではないですよね。
そのため、上司であるあなた自身も『あなたが今この会社にいる目的を達成するための目標』を複数持っている必要があるのです。
目標は1つではないはずです。
もしないのであれば、部下の目的と合致する目標を立てましょう。
【途中経過3】目標達成した場合、部下の目的が達成できることを伝える
部下の目的とあなたの目標が一致していることが分かりました。
しかし、上司であるあなたは、当然そこで終わらせてはいけません。
☞必ず言葉で『目標達成した場合、部下の目的が達成できること』を伝えましょう!
これで部下もあなたと一緒に仕事をする”メリット”を感じてくれることで、あなたの指示が格段に受け入れやすくなります!
【ゴール】共同的感覚を持たせる
世界で有名な心理学者であるアルフレッド・アドラーは❝対人関係のゴールは共同的感覚である❞と述べています。
『共同的感覚』とは、他者を仲間だとみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることです。
では、対人関係のゴールである『共同的感覚』はいったいどのようにして得られるのでしょうか?
【結論】☞『共同的感覚』は、同じ目標に向かい協力し困難を乗り越え続けることで強固になる
つまり、共同的感覚を仕事でも持つことができれば、チームとしての結束を強めることが可能です。
では、部下に共同的感覚を持たせるためにはどうしたら良いのでしょうか?
ここまでしっかり理解できた方はもうお分かりですね!
【結論】☞部下の目的の延長線上に自身の目標を設定させる3ステップを繰り返し、共通目標に向かって結果を出し続ける
目標に向かって進む過程で、困難に直面することがります。その度に互いに協力し支え合う過程で「私はこのチームで役に立ててる」「このチームにいて良い存在なんだ」と感じ、相手からも必要とされることで『共同的感覚』が育まれ、チームとしての結束がより強固になるのです。
部下共通の接し方は理解できたでしょうか?
次の項目では「そもそも部下とのコミュニケーションが苦手!」という人向けに『部下の4つのタイプ』ごとに分けて話し方のポイントを解説しました。
タイプ別の接し方
こちらでは、臨床心理学と組織行動学から作られたコーチング理論の1つである、部下の4つのタイプ分類と各タイプの接し方の注意点について紹介していきます。
コントローラー型(リーダー気質):自己主張【高】/感情表出【低】
☞自己主張は強い一方で感情表現は低いのが特徴です。
自身が判断する立場にいることを好むため、自分をコントロールしようとする人を苦手とします。決断にはスピードを重視する傾向にあるため『調和よりも個人』『過程よりも結果』を優先します。
☞基本的には自身で決定させる方向にもっていけばOK。会話は単刀直入に言うこと。
- 結論から話す
- 情報を聞き出すときは、質問ではなく教えてもらう姿勢で臨む
- 提案する時は選択肢を用意した上で、相手が選択できるようにする
- 指示を出すときは目的を伝えた上で、基本的には全面的に任せてみる
プロモーター型(アイディアマンで盛り上げ役):自己主張【高】/感情表出【高】
☞自己主張・感情表現ともに豊かであるため、チームの盛り上げ役になることが多いのが特徴です。
他者への影響力を重視します。承認欲求が強いため、単純作業や影響力の低い作業を嫌う傾向にあります。自身のアイディアを大切にするため、アイディアを否定されると自身を否定されたように感じやる気を失います。
☞承認欲求を満たしてあげるようにすればOK。
- 意見を聞くときは相槌やリアクションを多めにとる
- 質問はオープンクエスチョンで行い、自由な発想を促す
- 結果や行動に対してはこまめに感謝する オリジナルなアイディアを出した時には極力活かすようにする
サポーター型(人間関係を重視):自己主張【低】/感情表出【高】
☞自己主張は控え目だが、感情表現が豊かなのが特徴です。
相手の期待に応えることを好み、調和を重視し対立を避けます。上司としては扱いやすいタイプとなりますが、相手からの依頼に断れない性格のため、彼らのストレスを溜めすぎないよう、上司は言葉だけではなく態度や表情にも注意をかける必要があります。足並みをそろえないと行動に移せないため、ミーティングなど全員が合意して行動に移すための機会をこまめに作ることで、彼らの行動促進が可能です。
☞共感的態度で接すればOK。
- 目標には個人で任せるのではなく、サポート役をお願いしてみる
- 些細なことでも、行動に対してねぎらいの言葉をかける
- 仕事を抱えすぎていないか定期的に確認する
アナライザー型(理論・分析が得意):自己主張【低】/感情表出【低】
☞自己主張・感情表現ともに低いため、感情よりも理論に基づいた行動をとるのが特徴です。
失敗や誤りを極端に嫌うため、行動には十分な情報収集と分析を必要とします。また、漠然とした指示やスピーディーさが求められる仕事を苦手とします。逆に言うと、事前準備の時間を十分に与えた上で的確な指示さえ与えることができれば、彼らの情報収集力と分析力、正確性を最大限に発揮させることが可能です。
☞決断は迫らず、十分な時間を与えた上で明確な指示が出せればOK
- 質問や指示を出す時は、相手に判断を委ねないようにする
- 相手が「自分が行っていることが正しい」と実感させるまで待ってみる
- なかなか行動に移せていない場合はゴールまでのステップとリスクを十分に説明するか、ゴールまでの過程で必要な仕事をお願いしてみる
以上が、タイプ別部下の接し方まとめです。
では、すでに部下との関係が悪化している場合はどう対処対処したらよいのでしょうか?
次を見てみましょう。
【すでに関係が悪化している場合】攻撃型部下への対処マニュアル
すでに関係が悪化している場合、修復は困難を極めます。
「時間が解決してくれる・・」なんて問題を先送りにしていると後で痛い目をみますよ。
過去の私は問題を先送りにし、誤った方法であの手この手で小手先の改善を試みましたが、改善が見込めないまま長期戦へともつれ込み、神経をすり減らして休職に至っていますので・・。
今日から上記の対応をして改めることも1つの手ではありますが、一度関係が崩れてしまっている相手にはそもそもあなたの言うこと自体聞く耳を持たない(嫌いな相手への心のバリアがある)ため長期戦になり、神経を徐々にすり減らすためオススメしません。
そこで、すでに関係が崩れてしまった相手とは基本的には下記2つの行動をオススメします。
1.崩れてしまった原因を本人から確認し、自身が至らなかった点があれば謝罪する
相手があなたを嫌っている本当の理由をあなたがいくら想像したところで決してわかりません。
原因を突き止め改善しない限り、いくら相手のご機嫌取りをしようが根本的な問題解決にはなりません。
相手から直接原因を聞き出すことは大変勇気のいることですが、あなたが一歩成長し、同じ過ちを繰り返さないためにも必要な過程です。
『相手には自身の至らなかった点を改善したいこと』『同じ目標に向かって協力していきたいこと』『相手の協力が必要であること』を伝えれば、相手がまともな大人ならば必ず無視せず真摯に向き合ってくれるはずです。
2.関係修復を相手が拒否し続ける場合は上長に相談する
実際の世の中には、大人になり切れない人も多く存在しているため、いくらあなたが正しい態度で関係修復を心から望んでいることを示したとしても答えてくれない人もいます。
しかし、めげてはいけません。
対人関係のカードはいつもあなたが握っていることを忘れてはいけません。
助け船を出しても乗ると決めるのは相手次第。無理やり乗せるのはあなたが相手をコントロールしたいと願う、自己中心的な考え方であるため注意が必要です。
どうにもならない時は迷わず上司に相談しましょう。
あなたの上司も『あなたが真剣に関係修復に試みたこと』『問題への前向きな姿勢』さえ示せれば、あなたの評価が落ちるどころか『困ったときは報告・連絡・相談ができる人』として評価を上げることが可能です。
上司に人間関係の問題を相談する際の注意点は『愚痴で終わらず、課題解決思考で臨むこと』です。
上記3点を意識して相談してみましょう!
本当に相手が悪いだけの場合、すんなり部署移動や店舗移動などの適切な対処をしてくれることも多いです。上司も味方にできるのでまさに1石2鳥です♪
【まとめ】悩みの方向性を変えてみよう!
この記事では年上部下との接し方について、関係が上手くいかない原因とその対策ついて解説しました。
今回解説した内容をすぐに実践することは、最初は大変かもしれません。
すでに関係をこじらせてしまい悩んでいる方もいると思います。
ですが安心して下さい。
どんな上司でも、部下の指導には常に頭を悩まし続けているものです。
悩むべきは部下からどう思われるか?ではなく、部下のために自分に何ができるか?です。
全員がカリスマ性のあるリーダー、みんなを引っ張るリーダーである必要は全くありません。
悩んだ時は、上司の役割は『メリットを示し続ける』『目標にチームのベクトルを合わせ行動し続ける』の2つを意識するだけで基本的にOKです。
何でも完璧にこなせる上司などこの世に存在しません。
互いの欠点を補完し合い、そして強みを生かし合う上下関係の存在しない横並びの関係からこそ『共同的感覚が生まれ強固なチームワークが生まれるのです。
それでも上手くいかなければ、より大きな共同体の声に耳を傾けてみましょう。
あなたの上司でも、家族や友人でも誰でも大丈夫です。
私でよければTwitterのDMにて可能な限り相談に乗りますよ。
今の会社が合わないというのであれば、今の会社という小さな共同体に無理に身を置かなくてもいいのです。大切なのは、未来へ踏み出すあなたの第1歩です!
転職活動も並行して行うことで、あなたの新たな可能性も見つかるかもしれません。
転職サイトに登録しておくだけでも『居場所はここ以外にもある』と思えるため、心がグッと楽になりますよ♪
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