
力価計算が苦手です。
素早く答えを出す方法は?
完全マスターしておきたい!
このような疑問にお答えします!
製剤量(秤取量)=
原薬量(成分量)÷(%の前の数字×10)
※電卓では「原薬量÷%の前の数字÷10=」で入力!
原薬量(成分量)=
製剤量(秤取量)×(10×%の前の数字)
上記が理解できなかった方は…
⇩

上記のような方向けに、以下のSTEPで解説します!
- STEP1
- STEP2
- STEP3
- STEP4
- STEP5

今日からあなたも力価計算マスター!
「力価計算が出来ない…」なんて言わせません‼
◎薬剤師電卓という選択肢◎
/安心をあなたの胸ポケットに!\
言葉の定義を理解しよう!

言葉の定義が分かっていないと次の公式説明が理解できません。
ここで一度、言葉の定義を整理しましょう。

クリックすると必要な情報が見れます!
- ①力価
- ⇒
力の強さを表すもの。
つまり、薬学における力価計算とは薬の強さ(期待する効能を発揮するための濃度や用量)を調べるための計算です。
- ②秤取量(製剤量または秤量)
- ⇒
秤量した際の製品自体の重さのこと。
薬は有効成分のほかに、飲みやすさ等と工夫するための添加物が含まれているため、〈製剤量(秤取量)=原薬量+添加物等〉となります。
アスピリン原末等の原末製剤はすべて有効成分となるため〈製剤量=原薬量〉です。
※本記事では秤取量と製剤量は同じ意味として取り扱っていますが、言葉の定義上は厳密には異なります。
秤取量は言葉の通り、秤量(電子天秤などで重さを計量)する際の全量のことであり、製剤量は製剤全体の重さ(例えば、100g入りのアスベリン散10%の製品量は100g)となります。
しかし、公益財団法人日本医療機能評価機構No.183製剤量と成分量の間違い(第2報)にもある通り、力価計算において秤取量(秤量した重さ)は製品そのものの重さ(製剤量)と扱われているため、本記事でも『秤取量=製剤量』として解説しています。
- ③原薬量(成分量または主薬量)
- ⇒
有効成分量のこと。薬は原末でない限り、すべてが有効成分ではないので注意。
原薬量と成分量は同じ意味であるが、過去に処方箋上で成分量と製剤量の読み間違いによるヒヤリハットが多発したことから、現在では成分量と記載せず「原薬量」と記載されることが多いです。
- ④原末
- ⇒
製品に添加物は一切含まれていない100%有効成分のもの。
つまり、秤取量(製剤量)=原薬量となる。
- ⑤%(パーセント)
- ⇒
製剤量1g中に含まれる原薬量の割合い(濃度)。
20%は製剤量1g中に原薬量0.2g=200㎎(1g×0.2で算出)である。
水剤の場合も同様に、製品量1mL中に含まれる原薬量(㎎)の割合である。
- ⑥単位変換
- ⇒
1g=1000㎎
1㎎=1000㎍
事前知識は以上です。
公式を理解しよう!

力価計算には以下の2種類あります。
以下より、2つの計算公式を見ていきましょう!
①成分量から秤取量(製剤量)を求める力価計算

※2010年以降、例外的に処方箋を原薬量表記する場合は必ず【原薬量】と明示すべきとされています。
秤取量(製剤量)
=原薬量(成分量)÷(%の前の数字×10)
※電卓では「原薬量÷%の前の数字÷10=」で入力!
- 処方箋が成分量表記で記載されていた場合に、実際に秤量する重さを計算する時
- 錠剤を散剤や水剤等へと剤形変更する際、等価の力価になるように秤取量を求める時
散剤および薬剤の「薬名」および「分量」については、従来「g(mL)記載は製剤量、mg記載は製剤量(原薬量)」のように、暗黙の了解として重量(容量)単位により判別・記載している例がありました。
しかし、ヒヤリハットの多発により
「薬名は製剤名」「分量は秤取量(製剤量)」を記載すること基本とすべきであり、例外的に原薬量で記載した場合には、必ず処方箋に【原薬量】と明記することが望ましいとされています。
その為、現在では秤取量(製剤量)で記載されることが基本となっていますが、手書き処方箋の場合など、未だにmg表記で原薬量とも記載されていない処方箋が来ることがあります。
その為、原薬量か製剤量かの判断が難しい場合は疑義紹介することをオススメします。

思い込みは禁物!
常用量範囲内かも確認しましょう!
例題で解説すると以下の通りです。

つまり、200÷200=1g/日(製剤量)
14日分の秤取量は1g/日×14日分=14g
これで終わり!
3秒で解けたはずです!
次に、秤取量(製剤量)から成分量を求める力価計算の公式を見てみましょう!
②秤取量(製剤量)から成分量を求める力価計算

※原薬量の場合は処方箋に【原薬量】と記載することが望ましいとされています。
成分量(原薬量)
=秤取量(製剤量)×(10×%の前の数字)
- 秤取量で記載された薬剤が、添付文書上の適正範囲内の用量が確認する時
- 散剤や水剤を等価の力価になるように別剤形の薬剤に変更する時

現在の処方箋では製剤量表記が基本のため、原薬量を求めることが多いです!
上記の公式は、前項の公式である
【公式】秤取量=成分量÷(10×%の数字)
を移項(いこう:方程式において左辺と右辺にある項を反対側へ移動すること)させると公式が出来上がります!
この公式を使えば、水剤や散剤もこの公式1つで簡単に解けます!

超簡単!
騙された感じでスッキリしないなぁ…

そんな方のために、以下でこの公式が導かれる理由を解説します!
暗記に頼らず公式を導き出そう!

この項目では、力価計算の公式の導き出し方を解説します。

以下が理解できれば暗記の必要が無くなります!
【秤取量編】公式の導き出し方を学ぼう~解法1~

〇〇散A%とは、製剤量1gあたりにA%の原薬量が含まれるという意味だから
製剤量1gに含まれる原薬量はA/100gとなります。
A/100gのままでは以降の計算が出来ないので、mgに直すと
A/100g×1000=A×10mgとなります。
つまり
(※1)製剤量1gに対して原薬量はA×10mgとなります。
ここで、原薬量Bmg/日の場合、どれだけの製剤量が必要かを求めたいから
B(原薬量)÷(A×10)=「Bは(A×10)の何個分」
つまり、1日当たりに必要な製剤量が分かります。
例えば、Bは(A×10)の3個分だったとすれば
先ほどの(※1)より
製剤量1gに対して原薬量はA×10mgと分かったので
1g×3個分=3gが1日当たりの製剤量
(あえて計算するまでもないが…)
となります。
以上より、以下の公式が導き出せます。
製剤量(秤取量)=
原薬量(成分量)÷(%の前の数字×10)
※電卓では「原薬量÷%の前の数字÷10=」で入力!
「比の計算の方が分かりやすい!」という方向けに
以下では『求め方その2』を解説します。
【秤取量編】公式の導き出し方を学ぼう~解法2~

〇〇散A%とは、製剤量(秤取量)1gあたりに
A%⇒{(A/100)g×1000}mgの原薬量が含まれるという意味。
今回求めたい製剤量(秤取量)XgあたりにBmgの原薬量が含まれるから
1g:1000×(A÷100)mg=Xg(製剤量):Bmg(原薬量)
1000×(A÷100)mg×Xg(製剤量)=Bmg(原薬量)
X(製剤量)g=B×{1000×(A÷100)}
X(製剤量)g=B×(A×10)
以上より、公式が導き出せます。
製剤量(秤取量)=
原薬量(成分量)÷(%の前の数字×10)
※電卓では「原薬量÷%の前の数字÷10=」で入力!
もし公式を忘れても
を理解していれば簡単に答えは導き出せます。
【原薬量編】公式の導き出し方を学ぼう
次に、秤取量(製剤量)から原薬量を導く公式が出来るまでを見てみましょう!

1日当たりの製剤量(秤取量)はCg⇒(C×1000)mgである
製剤量C×1000mg中にA%の原薬量(有効成分)が含まれているのだから
(C×1000mg)×(A/100)=C×(10×A)
つまり、以下の公式が導き出せます。
原薬量(成分量)=
製剤量(秤取量)×(10×%の前の数字)

小学校の割合の計算だね♪
難しく考えすぎてたかも♪
では、以下より本当に理解できたかのテストをしてみましょう!
練習問題を解いてみよう!

実際に臨床現場で使用する力価計算問題を解いてみましょう!
これがすべてできるようになれば、あなたも力価計算マスターです!
問題1
セフジニル細粒小児用10% 1回40㎎(1日120㎎)【原薬量】
毎食後 7日分の全秤量数を求めよ。
120÷(10×10)=1.2g(製剤量)/日
1.2×7日分=8.4g
問題2
アセトアミノフェン細粒20% 1回0.5g
1日3回まで使用可 7回分の全秤量数を求めよ。
※今回1回0.5gは製剤量であることに注意!通常、処方箋はg表記の場合は製剤量とみなすので注意してください!
0.5×7回分=3.5g
問題3
アスピリン原末 1回0.5g
1日3回毎食後 10日分の全秤量数を求めよ。
今回は原末です。原末はすべて有効成分のため、製剤量=原薬量となります。
0.5g×3回分×10日分=15g
問題4
メプチンドライシロップ0.005% 1日50㎍ 【原薬量】
1日2回 朝食後・就寝前 10日分の全秤量数を求めよ。
※今回は原薬量が㎍であることに注意。一度、㎎に変換する必要があるため
50㎍÷1000=0.05㎎(原薬量)
0.05㎎÷(0.005×10)=1g/日
1g×10日分=10g
問題5
カルボシステインシロップ小児用5% 1日300㎎ 【原薬量】
1日3回 毎食後 10日分の全秤量数を求めよ。
300㎎÷(5×10)=6mL/日
6mL×10日分=60mL
問題6
カルボシステインシロップ小児用5% 1日6mL
1日3回 毎食後 10日分の全秤量数を求めよ。
※今回は1回量がmL表記のため、製剤量である。
6mL×10日分=60mL
問題7
アセトアミノフェン錠200㎎ 3錠 3×毎食後 10日分の処方があった。
しかし、出荷調整のため錠剤が手に入らず、自店舗にあるのはアセトアミノフェン細粒20%ならある。
どうにか疑義紹介をして細粒に変更したいと考えている。
20%細粒に変更するためにはどう処方変更を提案し、全秤量数はいくら必要になるか?
①まずは、1日の原薬量を求めよう
⇒200㎎×3=600㎎(1日の原薬量)
②次に、1日の原薬量は20%散で換算すると何gの製剤量が必要なのか求める
(今までの力価計算と一緒)
⇒600㎎÷(20×10)=3g/日
つまり、アセトアミノフェン細粒20% 3g 3×毎食後 10日分に変更してもらえばOK
全量は3g×10=30g必要
問題8
体重10㎏の小児に以下の処方があった。
カルボシステインシロップ小児用5% 1日12mL 3×毎食後が処方されていた。
カルボシステインは通常体重1㎏あたりカルボシステイン(原薬量)として30㎎が有効成分量であるため、体重10㎏だと適正量は300㎎であることが分かっている。
この時、1日12mLが適正量か求めよ。
※今回は製剤量から原薬量を求め、適正量かどうかを確認してみる。
5%は1mL中に50㎎の原薬量が含まれている(5×10=50㎎/mL)。
そのため、12mLでは600㎎/日(50×12)の原薬量が含まれている。
つまり、適正量の2倍の量が含まれていることが分かるため、疑義紹介が必要。
(別解)臨床現場ではこちらがオススメです!
30(㎎/㎏の原薬量)÷(5×10)=0.6mL/㎏
つまり、カルボシステインシロップにおいては体重1㎏につき0.6mL必要と分かる。
これを覚えておけば『0.6×体重=カルボシステインシロップの製剤量』の公式が出来る!
※これは、他のシロップ剤は散剤でも作れる公式なので、現場で良く処方される薬剤は体重あたりの製剤量を覚えておくことですぐに適正量が算出できます。
問題9
ベポタスチンシロップ0.05% 1回1.25㎎ 【原薬量】
1日2回 朝食後就寝前 5日分
1回量が整数値となるように単シロップで賦形したい。
単シロップは全量で何mL加える必要があるか?
※1日の製剤量を出して、2で割れるか確認しよう
1.25㎎÷(0.05×10)=2.5mL/回
2.5mL×2=5mL
つまり、1日1mLの単シロップを加えればOK
よって、1mL×5日分=5mL(全量の単シロップ)
問題10(難問)
グルコン酸カリウム錠5mEq 6錠3×毎食後 10日分で処方があった。
しかし、出荷調整のためグルコン酸カリウム錠5mEqの在庫がなかった。
そこで、自店舗にあるアスパラカリウム錠300㎎(1錠あたりK値 1.8mEq)に変更できないか疑義紹介したい。
アスパラカリウム錠300㎎は1日何錠で処方提案すれば良いか?
グルコン酸KのK値は1日5mEq×6=30mEq
アスパラK300㎎1錠中のK値は1.8mEqのため
30÷1.8=16.6…≒17錠 ←誤りです!
※上記は大きな誤りのため注意しましょう!!
☞理由はカリウムは各製剤間で『生体利用率』が異なるからです。
アスパラカリウムとのK量の常用量上限比 1:0.4
アスパラカリウムへの換算式(目安の初回)グルコン酸KのmEq量×0.4=アスパラカリウムのmEq量
【正解】
グルコン酸KのK値
⇒1日5mEq×6=30mEq(グルコン酸Kの場合の1日におけるK値)
アスパラKはグルコン酸Kを1とした場合、0.4(40%)で同等の生体利用率がある。
そのため、上記をアスパラカリウムへの換算係数である0.4を掛けると
⇒30mEq×0.4=12mEq(アスパラカリウムで必要なK量)
12mEq÷1.8mEq/錠=6.6…≒7錠/日(アスパラカリウム300㎎の錠数)
カリウム値は生体利用率が異なるため、他のカリウム製剤から切り替える場合は注意しましょう!
(※1)mEq(ミリ当量、ミリ・イクイバレント、メック)は電解質の量を表す単位で、物質量(mmol)×イオンの価数で計算する。 mEqは通常、理論値、すなわちNaCl等の電解質がNa+とCl–等に完全に電離した状態を示す。
力価計算で役立つアプリやツールを紹介!

「力価計算がどうしても苦手…。」「本当にあっているか不安…。」という方には、以下の3つの解決策があります。
詳細は以下の通りです。
③薬剤師電卓
こちらはCASIOから発売されている薬剤師電卓となります。
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薬剤師電卓なら、このような仕事の悩みを
一挙に解決できます!
- 散剤鑑査計算:粉薬の調剤時に必要な計算を簡単に行える。
- 力価計算(秤量→成分量 / 成分量→秤量):薬剤の有効成分量を正確に計算。
- 体表面積計算(DuBois式 / 藤本式):薬剤投与量の決定に役立つ。
- 腎機能計算(CG式 / eGFR):腎機能に応じた薬剤投与量の調整に活用。
- 日数計算、余り計算:処方日数や残薬の計算を簡単に行える。
上記のように、力価計算以外にも薬剤師業務に役立つ機能が満載です!
携帯に便利なポケットサイズであり、さらに抗菌加工で衛生面にも考慮!
5,000円で「安心・便利・効率」を手に入れるなら
薬剤師電卓という選択肢も十分ありでしょう!
◎薬剤師電卓という選択肢◎
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力価計算が慣れた後でも体表面積・腎機能計算でずっと利用可能です!
日数計算や余り計算では在庫管理・残薬調整で大活躍しますよ!
薬剤師の永遠の相棒となること間違い無しです!
②力価計算アプリ
こちらのアプリは薬剤師免許を持ちながら、オンライン薬局を運営する株式会社YOJO TechnologiesでWebエンジニアとして活躍されている加藤智之さんが作成した力価計算アプリです。
製剤量と成分量の2つの計算が「剤形」「%の数字」「成分量」の3項目を入力後、「単位」を選択すれば計算してくれるツールとなります。
計算が慣れるまでは本サイトをブックマークをしておき、計算が合っているか確認するツールとして役立ちます。
③力価計算ツール
こちらは薬剤師業務支援サイトである「管理薬剤師.com」の力価計算機(ツール)です。
細粒/顆粒/散/DS/シロップの%の値と、処方箋に記載された力価(mg/日)を入力して計算するを押すと、製剤量(g/日 or mL/日)を計算できます。
こちらのページでは「小児用量換算式」「小児用量一覧」等も確認できるため、力価計算以外にも小児科領域の計算で役立つツールが豊富にあるため便利なサイトです。
力価計算をマスターして業務を効率化しよう!

公式を使用すれば力価計算は3秒で解けるはずです!
最後に、今回の内容をおさらいしましょう!
製剤量(秤取量)=
原薬量(成分量)÷(%の前の数字×10)
※電卓では「原薬量÷%の前の数字÷10=」で入力!
原薬量(成分量)=
製剤量(秤取量)×(10×%の前の数字)
臨床現場では素早く正確に計算する必要があります。
まだ苦手意識がある方は、本ページをブックマークしておくか、画像をダウンロードしておき、繰り返し練習してみましょう!
どうしても力価計算が不安な方は
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11種類の計算がこの1台で迅速かつ正確に行うことが出来ますよ!
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