
日々の服薬指導や処方監査、お疲れ様です!
患者さんの生活習慣病指導や、腎機能に応じた投与量設計を行う際、「サクッとBMIや適正体重を計算したい」と思うことはありませんか?
そんな薬剤師の皆様に向けて、現場でパッと使えるBMI計算ツールを作成しました。
ぜひ、日々の業務やご自身の健康管理にお役立てください!
BMI計算ツール
BMIとは
BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)とは、体重と身長から算出される、ヒトの肥満度を表す国際的な体格指数です。
1835年にベルギーの統計学者によって提案された指標であり、計算式がシンプルであることから、現在でも世界中で広く用いられています 。主に成人の体格判定に使われ、生活習慣病のリスクを評価する重要なバロメーターとなります。
BMIの計算式
BMIおよび、統計的に最も病気になりにくいとされる「適正体重(標準体重)」は、以下の計算式で求められます。
BMIの計算式
適正体重の計算式
適正体重は、BMIが「22」になる体重を指します 。現場で「ベストな体重はどれくらいですか?」と患者さんに聞かれた際は、この適正体重を一つの目安としてお伝えするとスムーズです。
肥満の判定基準
BMIの計算式自体は世界共通ですが、肥満を判定する基準は国や機関によって異なります。
日本の臨床現場では、日本肥満学会が定めた以下の基準を用いるのが一般的です。BMIが25以上を「肥満」、18.5未満を「低体重(痩せ)」と定義しています 。
| BMI値 | 判定 |
| 18.5未満 | 低体重 (痩せ型) |
| 18.5 〜 25未満 | 普通体重 |
| 25 〜 30未満 | 肥満 (1度) |
| 30 〜 35未満 | 肥満 (2度) |
| 35 〜 40未満 | 肥満 (3度) |
| 40以上 | 肥満 (4度) |
世界保健機関(WHO)の基準では、BMI 25〜29.99は「前肥満(過体重)」、30以上からを「肥満」としています 。外国籍の患者さんへ説明する際などは、この認識のズレに少し注意が必要です。
臨床でBMIを使うタイミング
薬剤師の業務において、BMIは単なる「太り気味のチェック」にとどまらず、安全な薬物療法を提供するための重要なツールとなります。
腎機能(CCr)の推算時
Cockcroft-Gault式を用いてクレアチニンクリアランス(CCr)を計算する際、患者さんが高度な肥満である場合、実体重をそのまま当てはめるとCCrを過大評価してしまう恐れがあります。
BMIを確認し、肥満傾向が強い場合は「適正体重(理想体重)」を用いて計算するなどの補正を考慮します。
参考リンク(PDF): CKD診療ガイドライン2023 第11章 腎機能低下患者・透析患者における薬物投与(日本腎臓学会)
生活習慣病の服薬指導・メタボ健診のフォロー
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、肥満と密接に関わっています。
特定健診(メタボ健診)の結果を持参された患者さんに対し、検査値だけでなくBMIの推移も踏まえて、運動や食事のアドバイスに繋げることができます。
2024年4月8日に大正製薬から発売された「アライ」の購入・服用には、BMIが「25以上35未満」であるという基準があるので、薬局でも計算することが多くなりました。
抗がん剤や一部の抗菌薬の投与量チェック
体表面積(BSA)ではなく、体重換算で投与量を決定する薬剤において、極端な肥満や低体重の患者さんでは、副作用リスクや有効性の低下を防ぐため、投与量が適切かをBMIと照らし合わせて鑑査することがあります。
この考え方が重要になるのは、主に「水溶性が高く脂肪組織に分布しにくい薬剤」や「クリアランスや分布容積が体組成によって大きく変動する薬剤」です。
体重1㎏あたりで投与量を決定する薬剤では、明らかな肥満患者に実測体重(TBW)のまま投与すると確実に過量投与となりかねまん。
肥満患者においては、実測体重と理想体重の間をとった「補正体重」を用いて計算することが推奨されているため、BMIを用いて肥満度を評価することは「補正体重に切り替えるべきか」の重要なトリガーとなります。
薬剤師が知っておきたいBMIの注意点・限界
非常に便利なBMIですが、万能ではありません。現場で活用する際は、以下の点に注意しましょう。
体組成(筋肉と脂肪の割合)までは分からない
BMIはあくまで「身長と体重の比率」であるため、筋肉量が多いアスリートでも「肥満」と判定されてしまう限界があります。
内臓脂肪の蓄積は腹囲などを併せて確認する必要があります。
高齢者の「痩せ(フレイル・サルコペニア)」への警戒
高齢者の場合、肥満よりもむしろBMI 18.5未満の「低体重」や、体重減少によるサルコペニア(筋肉量減少)のリスクに目を向ける必要があります。
薬の効きすぎや副作用の発現に直結するため、栄養状態の確認が欠かせません。
小児・妊婦には別の指標を用いる
小児にはカウプ指数(幼児)やローレル指数(学童)といった別の指標を用います。
また、妊娠中の体重管理についても、妊娠前のBMIに応じた個別の望ましい体重増加量が日本産科婦人科学会などから示されており、通常のBMI判定をそのまま当てはめることはできません。
まとめ
BMIは、患者さんの全身状態をざっくりと把握するための優れた指標です。

今回ご紹介したツールをブラウザのブックマークやスマートフォンのホーム画面に追加していただき、薬局での鑑査や服薬指導の頼もしい相棒としてご活用ください!



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